資本論-斎藤幸平さん①

100分で名著「資本論」斎藤幸平さん解説の第1回~「商品」に振り回される私たち~読了。マルクス資本論は今までも何度も色んな人の解説書を読んでは、どこか難解で理解が深まらないでいたが、今回の斎藤さんの読み解いているマルクス資本論は、現代の資本主義経済社会の仕組みや現れている矛盾を奥行深く分析していて、読んでいて感動した。ここでは、第1回の論考に寄せられているキーワードのみ記しておきたい(一つ一つのキーワードが哲学的で奥行きが深いので、詳しくは著書と原著にあたりながら復習すること)。

「第1回は、マルクスの理論的土台となる『物質代謝論』を軸に、自然との関係で人間の『労働』について分析し、モノに振り回され、大事な物を失っていく私たちの生活について考察する。」

「労働は、まずもっと、人間と自然とのあいだの一過程、すなわち、人間が自然との物質代謝を自らの行為によって媒介し、帰省し、制御する一過程である。」

ここでは、マルクスの「労働」の概念が、自然と人間との代謝関係にあることを理解しておきたい。

次に、「富」と「商品」の違いをこう説明する。「資本主義社会の「富」は「商品」という形で「現れる」、とマルクスは言っている。」「資本主義社会における労働は、「商品」を生み出す。けれども、裏を返せば資本主義以外の社会における労働が生み出す富は、必ずしも商品として現れるわけではない」

ここで、「商品」が資本主義特有の現れ方、「富」は資本主義以前から人間社会にあるもの(きれいな空気や水、緑豊かな森、地域の図書館・公民館、知識や文化・芸術)、貨幣では必ずしも計測できないけれども、一人ひとりが豊かに生きるために必要なものとある。

さらには、「誰もがアクセスできるコモン(みんなの共有財産)だった「富」が、資本によって独占され(資本による囲い込み)、貨幣を介した交換の対象、「商品」になる(商品化)」。

また、イギリスのエンクロージャー(囲い込み)にあるように、農民が土地を追われ、地元に残った人も、農作物を「商品」として生産する大規模農業経営のもとで、農業に従事する「賃労働者」に転じていく。賃労働をしなければ生きていけない人が増える一方で、市場経済が回り始めると資本家や地主はどんどん潤い、資本主義が発展してきた過程を「本源的蓄積」と呼び、コモンを解体して人々を賃金労働に駆り立てる、資本主義に固有の収奪行為だと指摘している。

また、「価値と使用価値の違い」「物象化」も現在の経済社会を分析する上で、極めて重要な概念であるので、また後程まとめたい。今日はここまで。