いま、地方で生きるということ(西村佳哲氏)-生きていく場所?-

西村佳哲氏の問題意識が、今の自分の問題意識にとても近しいものを感じる。以下、「いま、地方で生きるということ」まえがきより。

「どんな建築をつくるか?という前に、どこで生きてゆくのか。自分が生涯を通じてかかわる場所をまず決めなさい」建築家のあり方として、至極当然の話だと思う。本来的に建築はその土地の素材で、その気象・文化・風土の只中に置かれるものをつくる仕事だから。この言葉には、他のことにもあてはまる普遍性が含まれている気もしていた。たとえば「どんな仕事をするか?という前に、生きてゆく場所を決めなさい」とか?(中略)働いて・生きてゆくことと、場所の関係が、どうも看過できない。

このことについて、西村氏は現代の仕事は昔ほど土地に根差したものばかりでないという事も踏まえた上で、西村氏自身も迷いながら探っているという。

本著では、東北と九州とに旅して、そこに生きている個人の生き方を描きながら「地方で生きるということ」について考える著作である。多くのヒントが隠されていそう。