贈与経済≒相互支援ネットワーク?

ちゃぶ台6の平川さんのエッセイ「止むを得ず、贈与経済」拝読。平川さんの哲学は芯が太く、これからの生活や社会を考える上での土台となるアイデアを提供してくれる。コロナ禍の現代社会において、テクノロジーは進歩し、文明は発展しているのに、なぜこれほど社会が脆弱なのか?その理由を説明するキーワードは「経済合理性」信仰ととく。

「経済合理性」とは、国家や会社という共同体であれ、個人であれ、その自己利益を最大化するために最も合理的な行動を模索すること。市場経済のモデルは「人間は自己利益を最大化するように行動する」という人間モデルから出発している。

2000年を前後して、世界の長期的人口動態のトレンドが変化した。この出来事は、総供給が総需要を上回るという恒常的な供給過剰の現象である。

平川氏は5年前まで3つの会社を経営していたが、会社の清算は、それまでの自分の人生の中で、初めてと言ってよいほどの決断だったという。それは、生きていく上で何が大切なことなのかを決める自分の内部の基準であり、価値観について知ることである。私も、私の家族も生きていかなくてはならず、そのためのお金は必要だったが、そういうことを意に介する必要がなかった。友人、知人が、様々な場面で、援助の手を差し伸べてくれたからである。私は、そうした喜捨の助けを借りながら、それ以前とは異なる生き方をすることとなった。交換経済、市場経済から降りて、贈与経済が始まったような気持ちになった。

これは、内田先生が「コモンの再生」の中で述べている「相互支援ネットワーク」の形成にもつながる話に通ずる。平川さんの人徳?から築き上げてきた相互支援ネットワークが平川さんの言葉では「贈与経済」と表現されているということか。

今日、新装開店して初めて行ってみた「隣町珈琲」も寄付を集めてできたらしい。まさに贈与経済で成り立っている隣町珈琲、平川さんの相互支援ネットワークが成り立たせている隣町珈琲なんだなと思う。品川区の中延という都会のど真ん中でも、相互支援ネットワークを作っている平川さんの人徳?なのかな。

これからの人口減少、経済が右肩下がりの時代においては、人生の選択において「生きてく上で何が大切なのかを決める自分の内部の基準であり、価値観を知ること」が大事だと思った。生きていく上で何が大事なのか。自分を支えてくれる「家族」、生きる知恵を日々磨いていくための「本」、社会との接点としての「仕事」、自分をリフレッシュさせるものとしての「自然」。これらを相互に時間的にも空間的にも循環・運動させていける生き方をしていきたい。