日本再生のプランB(兪先生)

兪先生と内田先生との対談より。兪先生の「プランB」は医療・教育・芸術という3本が融合するセクターに資源を集中することで日本を再生するというもの。

内田 若くて優秀な人たちがいまは地方に行って、農業をしたり、小商いをしたり、非営利的な活動を始めています。僕の周りにもそういう若者がたくさんいます。彼らに共通しているのは、どれも私財を公共的に供託して、「コモン」を再構築しようとしていることです。

僕の友人の青木真兵・海青子夫妻は東吉野の山中の自宅をルチャ・リブロという「私設図書館」として開放しています。旧友平川克美君も「書物は私有すべきではない」と、自分が経営するカフェに自分の全蔵書を移して、誰にでも読めるようにしました。とにかく公共財を豊かにするという方向においては一致しています。

周防大島で農業をやっている中村明珍君はパンクバンドのギタリストでしたけれど、地方移住してから得度(とくど)して、お坊さんになりました。だから、いまは農家で僧侶で時々ミュージシャンです。食料生産と宗教と芸能という人間が生きてゆくためになくてはならないものを一身で行っている。人間が生きてゆくためにほんとうに必要なものは何かを真剣に考えていると、彼みたいな生き方になるのかなと思います。