移住への道筋 「次の時代を先に生きる/高坂勝氏」より

「次の時代を先に生きる~ローカル、半農、ナリワイへ~」高坂勝著読了。本著では、地方移住に向けてのビジョン・方向性・希望が比較的ハッキリと描かれている。これからの移住に向けての動きを考える上での重要な材料になるので、書き留めておきたい。

 高坂氏は千葉県匝瑳市へ移住し、「半農半X」「自給自足」の実践をしているのみならず、田んぼでのお米作り、大豆の自給までしているところが魅力的だ。畑での野菜作りは始められても、田んぼでのお米は大規模な耕運機など必要で手が出ないイメージがあったが、自給できる分のお米なら十分にやっていけることを本を通して具体的に示している。

またこの本では「THE消費者」「自給」というキーワードで現代社会での都市生活(サラリーマン生活)とこれからの新しい地方(田舎)での生き方(ナリワイ)を巧みに表現している。「The消費者で居続ける限り、死ぬまで被害者であり、死ぬまで加害者でもある」「世界の途方もない様々な問題群に対して、ささやかでもできる、かつ、本質的な行動は、自分の食べ物の自給だ」「自給をすることで僅かでも輸入依存度を減らし、加害者から抜け出ることだ」「自給は『The消費者』と化したこの国に住む人たちが尊厳を持って生きる入口になる。企業に隷属しなくても生き延びることができるからだ。」「The消費者に甘んじてなんていられない。企業のお膳立てに乗るなんてシャクだ。食べ物を育て、採取し、遊びをクリエイトし、感動と楽しさを自ら見つけ、生きる力を獲得する。君はThe消費者として一生過ごすか、それとも人生をクリエイトしてゆきたいか?」

また、もう一つのキーワードに「ナリワイ」がある。ナリワイについて高坂氏からの記述をいくつか参照しよう。「就職しない生き方。それには2つの方法がある。1つは、ナリワイを興すこと。もう1つは自給する事」「ナリワイとは、個人で元手が少なく多少の訓練で始められて、やればやるほど頭と体が鍛えられて技が身に付き、ついでに仲間が増える仕事のこと」「要は会社から給料をもらう仕事ではない」「せっかく田舎に行くのだから、仕事を与えてもらう発想から抜けて、仕事を創り出す決断をすればいい。まさにナリワイなのである。実は田舎ほど課題先進地だ。」「ナリワイへの可能性は自分の内側を見つめることから、もしくはすでに持っている要素から発展する。ナリワイは1つでなくていい。専業にこだわる必要はない。むしろいくつもあったほうがリスクヘッジになるし、互いの仕事を行き来することで飽きが来ず、メリハリにもなる。ナリワイ助走期間中はアルバイトやパートでライフスタイル基準金額を補填するのもいい。」「経済成長至上主義に代わる、新しくて懐かしい経済の構築に、一人ひとりのナリワイ人こそが貢献してゆけるのだ。グローバル化の先のローカル化が順調に始まってゆく」

→自分のナリワイの可能性は?(音楽:ピアノ、ギター、弦楽器、/ソーシャルワーク、病気・障害のある人の生活援助/)

移住に向けて今年度の一年間かけて、見学・体験・現地の人の話を聞きに行く、などして移住してみたい地域との関係づくりと、移住後の生活(半農半X、ナリワイ、自給自足)の形作りをしていきたい。